こんばんわ。
先日、アミスフィールドのピノ・ノワール2014の開栓後からの時間経過に関するテイスティングレポートを書かせていただいたところ、好評を頂きましたので、今後も時間経過を加えたテイスティングレポートをさせていただきたいと考えています。
アミスフィールドの記事はこちら
さて、今日はその第2弾としまして、クーパーズ・クリークというワイナリーの「レザーバック SV セントラル・オタゴ ピノ・ノワール2015」のレポートをお届けしたいと思います。
1980年に設立されたクーパーズ・クリーク・ワイナリーは、「ぶどうを、常にその最良のものが得られる場所で育てる」というポリシーの元、世界のおよそ20ヶ国以上にワインを輸出しています。
輸出されたワインは、国外のワインコンテストでも高い評価を集め、数多くのトロフィーを獲得しています。
そんな彼らのワインのラインナップの中でもSV(Select Vineyards)と名のつくものは、自社畑の中でも特に厳選した畑のぶどうを使用した、最上級のワインです。
そして、実はこのワインは、日本では弊社専売で取り扱わせて頂いています。
(弊社でこういった特別なワインを取り扱う際、私もその選定に関わらせていただいています)
さて、改めてこの企画は「ワインはボトルをあけてから、何日かに分けて飲む」という人のために、ワインキーパーなどを一切使わず、通常のスクリューキャップのみで保存した状態で、どれくらい味が変わっていくかを実験したものです。
1日にテイスティングする量は、約200ml、グラス2杯分です。
徐々に減っていく中で、どのように味や香りが変わっていくかを観察しました。
<抜栓後>
グラスに注ぐと、チェリー、プラムなどの黒い果実と、ほどよいスパイス香がゆっくりと立ち上ります。非常にフルーティーで、さまざまな果実の香りが何層にも重なっています。
口に含むと、シルクのような柔らかな舌触り、そして、しっかりとしたチェリーのような果実味が口いっぱいに広がり、続いてほのかな酸味、ミネラル感、柔らかなタンニンが口の中に長く続きます。最後は程よいスパイス感でフィニッシュを迎えます。
洗練された柔らかな飲み口とバランスの取れた味わいで、エレガントなピノ・ノワールというのが印象的です。
実はこういった複雑なバランスをしっかり保った、柔らかなピノ・ノワールは、セントラル・オタゴ産としてはとても珍しいものです。
セントラル・オタゴのピノ・ノワールの多くは、骨格が太く、しっかりとした果実味、土のような香り、そして長く続くタンニンが特徴です。一つ一つのエッセンスのエッジがすべて立っているワインと言えるかもしれません。
しかし、クーパーズクリークのピノ・ノワールは、もちろん一つ一つのエッセンスの個性はしっかりとあるのですが、すべてが調和されてまとまっているので、決して骨太とは言えないまろやかさがあります。
そのため、単体で飲んでもよし、食事にあわせてもよし、という使い勝手の良いワインなのです。
栓をあけた直後はその絶妙なバランス感と、果実の香ばしさをたっぷりと味わうことができます。
<2日目>
1日目とほとんど変わらず、エレガントな香りは一切失われていません。口に入れた瞬間に広がる果実味、舌触り、酸味、ミネラル、タンニンも、ほぼ1日目と同じです。
このワインの持つ、複雑なアロマのバランス感のポテンシャルを、2日目も十分に味わうことができました。
<3日目>
グラスに注いだ瞬間に立ち上る香りは、2日目と変わらずにほとんど失われていません。
しかし、口に入れた瞬間に広がるエッセンスには、ややバランス感が欠けてきている印象がありました。
これは、とても注意深く飲まなければ分からないかもしれませんが、最後に来る酸味とスパイス感がやや強くなってきたと感じました。
ほんの少し酸味が強くなってしまったことで、絶妙に保たれていたバランス感が少し崩れてきたのかもしれません。
しかし、逆にスパイスを強く感じるため、お肉料理には、より合わせやすい状態とも言えるでしょう。
<4日目>
さすがにグラスに注いだ瞬間の香りのエッセンスも、少し弱くなってきました。エレガントな果実味と、スパイス感が少しばらけてしまった印象です。3日までは両方が絡み合って立ち上ってきたものが、ほどけてしまった、そんな印象です。
味のほうも、さすがに少しピントがぼけてしまった感じです。3日目よりも、さらに酸味とスパイス感が強くなり、果実味が弱まった印象です。
逆にいうと、それだけ繊細なバランスの中で保たれたワインだともいえるでしょう。
<結論>
2日目までは、全く遜色や劣化なく、そのポテンシャルを最大限に楽しむことができます。
もし3日目まで残ってしまった場合は、お肉料理などと合わせて楽しむと良いかと思います。
エレガントな果実味、土の香り、ミネラル、酸味、タンニン、スパイス、すべてがバランスよく整った、セントラル・オタゴの生んだ素晴らしいピノ・ノワールです。
きっと、ピノ・ノワールの表現の奥深さを感じていただけることと思います。
ピノ・ノワールがお好きな方は、是非一度お試しいただきたい一本です。
我妻
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