投稿日 : 2018.1.19 | 投稿者 : Kiwi Breeze | パーマリンク
ニュージーランドワイン「ゲヴュルツトラミネール」の会 開催報告
こんにちは。
昨日、毎月恒例となっている私主催のワイン会を開催させていただきました。
毎回違うテーマで開催させていただいているワイン会、今回のテーマは「ゲヴュルツトラミネール」です。
ゲヴュルツトラミネール(Gewurztraminer)は、フランス東部のアルザス地方の代表品種のひとつで、強く上品なアロマを特徴とするこのワインは、リースリング、ピノ・グリとともに、アルザスを代表する高級白ワインです。
Gewurzとは、ドイツ語で香辛料の意味で、ライチの香り、グレープフルーツまたは藤色のバラの香りとも表現される、非常に強いアロマを持っています。
実際に科学的に分析しても、ライチやバラと同じ香り成分が含まれているそうです。
通常は引き締まった辛口で造られますが、ぶどうを遅摘みにしたり、貴腐化したぶどうを手摘みすることにより、甘口の超高級デザートワインも造られています。
そんな辛口から超高級デザートワインまで幅広く作ることのできるゲヴュルツトラミネール、ニュージーランドでも数は少ないものの、生産されているんです。
さて、乾杯の1本目は、サイフリード・エステートの「オールドコーチロード ゲヴュルツトラミネール2016」です。
オーストリア出身のヘルマン・サイフリード氏が妻のアグネスとネルソンにワイナリーを開いた1973年当時、他にぶどう畑は1つもありませんでした。
誰もがネルソンはぶどうを育てるに適さないと思っていた中、ヘルマンは努力を続け、素晴らしいブドウを育て上げ、ワインビジネスで成功を収めました。
現在ではネルソンはニュージーランドでも有数の素晴らしいワインの産地として、多くの生産者が集まっていますが、その意味でこのワイナリーはパイオニア的な存在です。
さて、こちらのゲヴュルツトラミネール、注いだ瞬間に白いお花のような優しい甘い香りがグラスから立ち上ってきます。ライチ、ジャスミンの優しい甘みと、ホワイトペッパーのようなスパイシーさと凝縮感ある果実味が口の中に溢れます。
思わず参加者から、「おいしい~」という声がたくさん聞こえました。
そんな優しいゲヴュルツトラミネールにあわせたのは、「イカとアーモンドのグリーンサラダ~中華風醤油ドレッシング和え~」です。
イカとアーモンドの風味と、エッセンスで使ったかいわれのピリ辛さ、そして特製のドレッシングがマッチして、優しいお花やライムの風味をもつこのワインといいマリアージュになったのではないかと思います。
続いて2本目は、ブラッケンブルックの「シャングリ・ラ ゲヴュルツトラミネール2016」。
ブラッケンブルックはニュージーランド南島の町ネルソンで、非常にアロマティックなワインを生産するワイナリーで、ブドウは全てサステイナブル(持続可能)な畑で大切に育てられています。
ゲヴュルツトラミネールはアロマティックなワインなので、ブラッケンブルックが最も得意とするワインのひとつです。
このワインに合わせたのが「油淋鶏(ユーリンチー)」。
ユーリンチーは、からっと揚げた鶏肉に、甘辛ダレをたっぷりかけて味わう中華料理ですが、中華とワインというと、もしかしたら意外だと感じる人もいるかもしれません。
しかし、中華とワインのマリアージュはトレンドの1つになっています。
特製の甘辛ダレと鶏肉のジューシーな味わい、油でさっと揚げることによって甘みの増した野菜が、このワインの持つシルキーな飲み口と、バラの花のような上品な香りと甘さにマッチしていたのではないかと思います。
3本目はシャーウッド・エステートの「シグネチャー・ファミリー ゲヴュルツトラミネール2014」をお出ししました。
シャーウッド・エステートは、サステイナブルプログラムおよび有機栽培で、非常に手間をかけたブドウ栽培を実践しており、「高品質のワインは世界中の人々を魅了する」という信念のもと最高級のクオリティを目指してワイン造りを行っているメーカーです。
こちらを、今回、リーデルのセントラル・オタゴ ピノ・ノワールグラスに注がせていただきました。
というのも、ピノ・ノワールもゲヴュルツトラミネールも、非常にアロマティックなワインなので、このワインの香りをより楽しんでいただけると考え、このグラスに注がせていただきました。
前の2本よりも甘くフルーティーに作られたこちらのワインは、完熟したライチ、パイナップル、そしてハチミツのような甘さや香りが漂います。このフルーティーさが、グラスからふんだんに香ってきました。
しかもこのワインの持つ甘さは、爽やかに口の中から消えるので、どんどん飲めてしまうある意味危険な一本です(笑)
お食事としてあわせたのは「ベーコンとソーセージのポトフ」です。
スパイスを少し強めに、お塩加減は少し優しくお味付けをさせていただいたので、甘さとスパイスがいいマリアージュになったのではないかと思います。
4本目は大沢ワインズの「フライングシープ ゲヴュルツトラミネール2013」です。
「海外で農業をしたい」という長年の夢を実現すべく、色々な農業国を視察した結果、ニュージーランドでワイン造りを始めることを決意した大沢泰造氏。
「安全で美味しいワイン造りは、最高のぶどうを作る事から始まる」という信念の元、ニュージーランドで高級ワインを作り続けている、日本人経営者のワイナリーです。
お食事としてあわせたのは「タラのにんにくパン粉焼き~ローストトマトを添えて」です。
にんにくの香りと淡白なタラの食感、甘酸っぱいトマトとワインビネガーと一緒に、生姜や程よいスパイスエッセンスを持つ大沢のゲヴュルツトラミネールが、うまく絡み合ってくれたように思います。
5本目は、アントマッケンジーワインズの「クラフトファーム ホークスベイ ローズヒップ2016」です。
こちらは、以前記事を書かせていただきましたオレンジワインです。
ゲヴュルツトラミネール単体ではありませんが、ブレンド比率としては最も高いため、こちらをセレクトさせていただきました。
アントマッケンジーワインズは、オーガニック栽培(現在ビオグロ認証の申請中)をベースに、亜硫酸の使用も極少量に抑えて、酵母もすべて土地由来の天然のものを使うなど、とにかく自然にこだわった農法でワイン造りをしている作り手です。
こちらも、セントラルオタゴのピノ・ノワールグラスに注がせていただいたところ、美しいオレンジ色に皆さん驚かれていました。
香りも強く、やや苦味のエッセンスもあるこちらのワインに合わせましたのが、「グリーンマッスルと鶏肉のパエリア」です。
グリーンマッスルは、ニュージーランドやオーストラリア近海で取れる、ムール貝に似た貝です。
こちらをパエリアに入れさせていただきました。
この貝の持つミネラルが、オレンジワインを引き立ててくれたように思います。
フィニッシュとしてお出ししたのが、大沢ワインズの「レイトハーベスト ゲヴュルツトラミネール2013」というデザートワインです。
お食事の最後に、ゴーダチーズとあわせて、デザート感覚でお楽しみいただきました。
白桃、完熟したパイナップル、ハチミツのような高貴で芳醇な甘さに、皆さんから感嘆の声が沸きあがりました。
デザートワイン、なかなか頂く機会は少ないかと思いますが、この素晴らしさを感じていただけたのではないかと思います。
6本全く違う表情を持つこと、ゲヴュルツトラミネールというワインの幅広さに、皆さんとても驚いていらっしゃいましたが、ゲヴュルツトラミネールという品種の理解がとても深まったと喜んでくださいました。
最後に参加者の皆様で集合写真を撮影。
今回、久し振りにワインを飲まれる方もいらっしゃったのですが、
「何年かぶりに飲んだ最初の一口の「おいしい」と思った記憶は、たぶんこれから先もずっと忘れないと思います」という、素晴らしい感想も頂きました。
また、今回静岡からわざわざお越しいただいた方もいて、心から感謝です。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!
我妻
タグ : ゲヴュルツトラミネール, ニュージーランドワイン